『世界で一番悲しい音楽』

因果な父子の対決、一部カラーのモノクロ映像、醸し出す何とも言えない不思議なダークな雰囲気がまるでかつてのデヴィッド・リンチを彷彿とさせます。
舞台は1933年。4年連続で「世界で一番悲しい町」に選ばれたカナダの町ウィニペグで地元のビール会社が開催する「世界で一番悲しい音楽」を競うコンテスト。恐慌後の苦しい社会で賞金獲得を狙い世界各国から集まってくる参加者の中にはとある一家の姿があった。主催するビール会社の女社長とかつてねんごろな関係にあったチェスターはアメリカでの興行私生活に失敗して恋人と共に故郷へ戻ってきたばかり。その父親は女社長に恋心を抱いていたが息子との仲に嫉妬しとある凶行を働いたとはいえいまだに彼女への想いを引きずっている。またセルビアから参加した流浪のチェリストとして名をなした男は実はチェスターの兄。一家がそれぞれの思惑を抱いて参加したコンテストの結末は…。
『たとえ明日が来なくても』
![Kal Ho Naa Ho [2003]](http://images.amazon.com/images/P/B00019HOU4.02._SCMZZZZZZZ_.jpg)
お話的にも割と普通のラブストーリーだし、舞台がニューヨークでもあるし、とりたててスパイシーな香りも感じられないので、きっと純正マサラムービーがお好きな方々には評価が別れる作品ではないのかなと思うのですけれど、どっちかと言えば欧州カレーもおいしくいただけるわたしは十分楽しめました。
イヤ、確かに気恥ずかしいというか、うわ〜(*赤面*)という箇所はたくさんありますよ。星条旗をバックに歌い踊りまくるシャールクとか、そもそも彼が登場する最初のシーンからして風がこー前から吹き付けてるのにあわせていちいち髪の毛かき上げてるところとか、登場人物がショックを受けてる心情と同時に大げさな音楽がデデーンとか、ここまでするか…ってほどのカット割りとかですね。くどいところもあるんだけど、でも単純におもしろかったです。怪しいばあちゃんのスパイスガールズ(…)やら、エロいお隣の勘違いおねーさんやら、ローヒトとアマンができてると思いこんじゃう乳母のカンタさんとか、ローヒトのおバカちゃんぶりとか愛すべきお笑いキャラクターもたくさん出てきて十分笑えたし、ローヒトがナイナにプロポーズする場面はこれまたすげーこっ恥ずかしいんだけどとーってもロマンチック。それになんつったって終わり約20分の泣かせ場面が…怒濤です。大いに笑って、ちょっとロマンチックな気分に浸って、それからドーッと泣かされて…いや〜何でもありのフルコースで楽しかったですよ。正直ちょっと疲れたけども。
何がよかったって一番は曲でしょうか。のっけから…ってほどすぐじゃないけどシャールクが歌い踊りまくるインド風「プリティ・ウーマン」やらディスコ・ミュージックだけでなく、使われてる欧米風の楽曲もちょっと80年代風の聞きやすいポップロック調だし、見ていて楽しくて幸せになれるPV風の撮り方も個人的には好みでした。なんといってもメインテーマ曲の「明日が来なくても」はすごくよかったです。これは曲も、実はちょっと苦手だったりするシャールクの写り方もすごくよかった!というわけで実はサントラを買ってしまったのでした。
原題:KAL HO NAA HO (Tomorrow may not be)
監督:ニキル・アドヴァーニ 2003製作
出演:シャー・ルク・カーン、プリティー・ジンター、サイフ・アリー・カーン
@第5回東京フィルメックス (2004.11.20〜11.28開催)にて
映画祭タイトル「明日が来なくても」
(story)劇場公開が始まるまでしばらくの間はずしておきます


