『マルチェロ・マストロヤンニ 甘い追憶』

marcello


 イタリア映画界に輝き続ける永遠の“ラテン・ラヴァー”マルチェロ・マストロヤンニ。スクリーンの向こうの観客を魅了し、また共演者スタッフら多くの人々に愛された知られざる彼の逸話を当時のインタビューフィルム、彼の娘たちバーバラ、キアラや共演者たちの話を交えて紹介するドキュメンタリーです。
 以前に観たドキュメンタリーは彼の回顧・回想録が元になっていたものでそれもまた非常に充実した内容だったけれど、今回ここで彼の愛した娘たちやら共演者らの語るマルチェロ像というのはよきパパだったり、驚異的な電話魔でちとルーズなところもあったけれど仕事には真摯な姿勢で取り組んでいたなどなどまた違った彼の素顔が伝えられます。往年/現役の名監督たちの顔ぶれ、また昨年亡くなったフィリップ・ノワレや、超ゴージャスに美しい女優さん方の思い出の中のマルチェロの姿は我々の想像の中の彼とぴったり来ておもわず微笑んでしまいます。
 余談だけどインタビュー映像のCCの姿にはちと驚きました(劇場版の予告にも使われていますけれど)。何年か前に夕張映画祭で来た時には今は製作関係にも興味があってその方面の仕事もしてるとおっしゃっていたんですが、記者発表に集まったオヤジ連の熱い視線に混じってその衰えぬ美貌と存在感に圧倒されたものでした。もしかして大病でもなさったのかしらと心配になったり。でもチャーミングな笑顔は変わらないんですけども。
 紹介される懐かしい旧作の数々はきっと日本未公開のものもあったりするのかも知れませんが、全部観たくなりました。ちなみに本編のナレーションを務めるのはセルジョ・カステッリット。

Bunkamuraル・シネマにて6月公開予定です。

イタリア映画祭2007にて鑑賞

Marcello Mastroianni: I Remember (Sub)
Marcello Mastroianni: I Remember (Sub)

こちらが '97のドキュメンタリー
10:58 | 「ま」行 | edit | page top↑

『人生の真実』

wahrebe

原題:Das Wahre Leben (Bang!) 監督:アラン・グスポーナー 2006年製作
映画祭タイトル 『人生の真実』
出演:ウルリヒ・ネーテン、カーチャ・リーマン、ハンナー・ヘルツシュプルング、ヨーゼフ・マッテス

 務めていた会社の経営陣がフランス人に代わりその結果会社をクビになってしまったローラント。それまで仕事一辺倒だったローラントは職を探す間あれこれと家族の世話を焼いたりコミュニケートを試みるのだが、そんな手のひら返しの父親の様子に当然のように家族の反応は冷ややか。
 ローラントが会社をクビになったその日、一家はとなりに越してきたクリューガー家の夕食に招かれる。そこで自室で密かに爆弾作りを趣味にしている内気な次男リーヌスはクリューガー家の奔放な娘フロリーナにちょっかいを出されるが、以来彼女はリーヌスにとって気になる存在になる。また画廊を経営しているローラントの妻ズュビレもフロリーナの絵の才能に注目し画廊で個展を開いてみないかと誘う。だがクリューガー家も一家の息子を不慮の事故でなくして以来家族の間には不協和音が漂っていた。そんなそれぞれ家族間に問題を抱える2つの一家が迎える顛末は…

 ローラントの家もお隣のクリューガーさんちも別に普通の人々といえばそうなんですが、もしかして普通に病んでるといったほうがいいのかしらん。ごく身近にありそうなお話です。
続きを読む
23:03 | O.T.ドイツ映画 | edit | page top↑

『冬の旅』

winterrei

原題:Winterreise 監督:ハンス・シュタインビッヒラー 2006年製作
映画祭タイトル 『冬の旅』
出演:ヨーゼフ・ビアビッヒラー、シベル・ケキリ、ハンナ・シグラ、フィリップ・ホーホマイヤー

 ヴァッサーブルクで工具製造の会社を営むも多額の負債を抱えるフランツ・ブレニンガーは気も短ければ言葉も汚い傲慢な人物にしかみえない生活を送っている。そんな彼の元にある日、ケニアの工場経営者から手紙が届く。それは政情不安定な自国では会社の資金を預けられる口座すらないので、信頼できる人物=ブレニンガーに資金を預かってもらえないだろうかという依頼。全く見ず知らずの人物によるあまりにも都合のよいオファーを不審に思う傍ら、依頼を受けることで得られるという多額の報酬に心を動かされる彼だった。
 いよいよ会社経営が立ちゆかなくなり精神的にも追いつめられて奇行も目立つようになったブレニンガーは子供たちと銀行の勧めで会社をたたむ決心をするが、最後の大ばくちのつもりでクルド出身の学生で通訳代わりのレイラを伴い、ケニアの取引先の代理人に会いに行く。ところが契約を交わす席で条件として多額の保証金が必要だと聞かされる。危うくだまされるすんでのところで契約を踏みとどまったことで意気揚々と自宅に引き上げたブレニンガーだったが、そこで彼を待っていたのは愛妻ムッキーが失明しかけているという事実だった。
 手術の費用を払う金などないブレニンガーは息子クサーヴァーから多額の借金をするが、こともあろうにその金をケニアへの契約保証金としてそのまま送金してしまう。結果ブレニンガーの手元にはびた一文も金は戻ってこなかった。当然のようにケニアの会社は元々存在などしなかったのだ。そしてブレニンガーは捨て身の覚悟で、振り込んだ金を取り戻すべくレイラを連れてケニアへと渡る…。

 一昨年及び2004年の映画祭で『ヒランクル』が上映されたスイス出身の監督H・シュタインビッヒラーの新作。タイトルになっている『冬の旅』というのはシューベルトの歌曲で、かつて歌手の道を志した主人公のブレニンガーは劇中幾度となくシューベルトの曲を口ずさむのですけれど、それらの場面が非常に印象的。というかそれだけで花丸。出演は同監督の『ヒランクル』、また『マリアの受難』『コード・アンノウン』のJ・ビアビッヒラーと、『愛より強く』のシベル、主人公の愛妻ムッキーにはドイツを代表する大女優、いつもお美しいH・シグラ。
続きを読む
13:04 | O.T.ドイツ映画 | edit | page top↑

『イェラ』

yella

原題:Yella 監督:クリスティアン・ペツォルト 2007年製作
映画祭タイトル 『イェラ』
出演:ニーナ・ホス、デヴィッド・シュトリーゾフ、ヒンネルク・シェネーマン

 旧東ドイツの地方都市ヴィッテンベルゲ。夫婦で営んでいた会社が倒産し夫とも離婚。一人新しい人生を歩もうとしていたイェラは彼女への未練を断ち切れない元夫ベンに執拗に付きまとわれていた。ハノーヴァーで会社経理の仕事を見つけ旅立つ朝のこと、彼女を駅まで送り届けようと自宅へやってきたベンの車にしぶしぶ乗り込んだイェラだったが、車内で激しくベンと口論。イェラが自分の元に戻る気がないと認めたくないベンはエルベ川にかかる橋を渡ろうとした瞬間ハンドルを大きく切り車は川へと転落する。
 しばらくして川のほとりの水音で目覚めたイェラは一人ハノーヴァーへ向かう。しかし心待ちにしていた会社はすでに不渡りを出し差し押さえを出されている有様。社長にだまされていたことを知った彼女は夢破れ絶望するが、宿泊先のホテルで知り合った金融投資コンサルタントのフィリップに誘われ優秀な会計士としての能力を発揮する。やがて宿泊先にもベンの姿がちらつくようになり不安に苛まれるものの、企業の思惑と多額の金の動く世界を体感したことで次第にのめり込んでいくイェラだったのだが…。

 一昨年のドイツ映画祭では『幻影』が上映されたクリスティアン・ペツォルトの新作。今年のベルリン映画祭に出品され主演のニーナ・ホス(「マサイの恋人」/「素粒子」の母親役とはぜーんぜん顔が違ってビックリ)が主演女優賞を受賞しています。
続きを読む
13:05 | O.T.ドイツ映画 | edit | page top↑

『新世界』

nuovomon

 シチリアからアメリカを目指し大西洋を渡ったとある3世代の家族の物語。切り取った場面は舞台劇のようでもあり、かつ風刺のような寓話的な語り口がシチリア訛りのイタリア語とあいまって素朴に響きました。一家が渇き荒れたシチリアの土地から巨大な野菜が育つ夢のような新大陸を目指す決意をした後、それまで飼っていた家畜たちを次々と移動させる様子はまるでノアの箱船にでも乗り込むかのような雰囲気さえ漂うのだけれど、家畜たちは連れて行くのではなくて渡航の費用としてすべて売り払われたもの。彼らにとっての本物の楽園は新世界にあるのか後にした旧世界にあるのか。
 新大陸に入るべき者を仮に選ぶとするならばそれは神様の仕事であってたまたま早くやってきただけの同じ人間がふるいにかける権利はないはずなのに、海を越えやってきた人々を能力で選別する先着アメリカ人。まるでナチスみたい。そんなことは許されるべきでないと分かっているのにそれでも息子と孫たちの明日にわずかなりとも光があるのならその可能性に賭けさせようとひとり旧世界へ戻る決意をする年老いたお母さんの愛と決意に涙。こんなお父さんお母さん本当にたくさんいたのかもしれない。
とおおむね感動してみていたのですけれど、シャルロット演ずるところのイギリス人女性の役割がちょっと薄かったかも?
18:35 | O.T.イタリア映画 | edit | page top↑

『ロストロポーヴィチ 人生の祭典』

EOL

 こちらも鑑賞からだいぶ日が経ってしまったので簡単に。邦題のミスリーディングはよくありがちだけれどこの作品にしても然り。元々の原題は「Elegiya zhizni. Rostropovich. Vishnevskaya.」というわけでロストロポーヴィチさんだけにテーマを絞った作品ではありません。片や音楽家の家に生まれて幼い頃から天才チェロ奏者として脚光を浴びてきたロストロポーヴィチさんと、対照的に貧しい家に生まれ育ち祖母に育てられ苦労に苦労を重ねたたき上げでディーバの称号を手にした元ソプラノ歌手の奥様ガリーナ・ヴィシネフスカヤさんに均等に光を当てて夫婦の長い人生の歩みを紹介したドキュメンタリーです。
 別にソクーロフが撮らなくても、という印象がなきにしもあらずでしたが(とはいえソクーロフだけで全編撮っているわけでなく何人かいるような感じじゃなかったっけ)、ウィーンでの新作に真摯に取り組むスラヴァさん、自らが主催するオペラ学院で指導を続けるガリーナさんの姿は印象的でありました。どちらかといえばお茶目なスラヴァさんもよいのですが、人生酸いも甘いもかみ分けてきたわ的雰囲気の漂うガリーナさんのことをもっとよく知りたいなと思ったり。あとはこうやって世界の巨匠たる演奏家と共に芸術を生み出し、またそれをかの国の巨匠映画監督の手によって納められた映像の中に小澤さんがいるということが、単純に誇らしいことだなあと思いました。読みにくい字幕を修正してN●Kで放映したらもう一度みたい一作。
17:54 | 「ら」行 | edit | page top↑