『GLASTONBURY グラストンベリー』
![Glastonbury [2006]](http://g-ec2.images-amazon.com/images/I/21vjaPNWzNL.jpg)
原題:GLASTONBURY 監督:ジュリアン・テンプル 2006年製作
邦題:GLASTONBURY グラストンベリー 製作国 アメリカ/イギリス
出演:マイケル・イーヴィス他 (ドキュメンタリー)
1970年よりイギリス・グラストンベリーで開催されている野外フェスティバルを振り返る音楽ドキュメンタリー。監督でジュリアン・テンプルの名前がクレジットされていますけれど、もしかして自身も撮影に出かけたりしたのかも知れないけれど、開催年ごとに納められた膨大なフィルムをまとめた編者というか制作総指揮みたいなもんなのかしらと思ったり。71年にニコラス・ローグが撮ったドキュメンタリーの作品の一部も使われているとのこと。
日本でも近頃は夏の野外フェスティバル開催はFUJI ROCKだったりサマソニだったり大きな物から小さな物まで定着してきているけれど、本場英国ではエイド・救済物もいろいろあったりしますが、ワイト島やらレディング・フェスやらモンスターズ・オブ・ロックなどなど開催の規模・件数も違います。グラストンベリーはこれ観るまでしらなかったんですがあらゆるアートの夏の祭典として音楽だけじゃなくて演劇やサーカス、ダンスなんかも開かれているんですね。どおりで規模もどでかいはずだ。規模が大きくなれば本来牧歌的な自由を謳歌する場であったところが、入場の規制やらゴミやらで行政との確執や問題も生まれるし、業務事務的にならざるを得ないこともあるだろうし、ヒッピーカルチャーの時代から様々なことが変わってきた様子が興味深かったです。その時代時代の現象が集約されているようにと思ったり。
そういったカルチャーシーンというか英国現代史的なところがかいま見られるのも楽しいんだけれどやっぱり各年代の旬なアーティストたちを集めたライブシーンをでかい画面&音で体感するのは非常に気持ちがよくてこれは劇場で観られて満足。モリッシーもプライマルスクリームもブラーもレディオヘッドもコールドプレイもよかったけれど、パルプで鳥肌が立ち、最後のデヴィッド・ボウイにゃ感涙すらしました。たぶんDVD買います。
@Q−AXシネマ
『ボルベール <帰郷>』
![Volver (To Return) [PAL/REGION 2. Import-Spain]](http://g-ec2.images-amazon.com/images/I/21R9AZE5TYL.jpg)
原題:VOLVER 監督:ペドロ・アルモドバル 2006年製作
邦題:ボルベール <帰郷> スペイン映画
出演:ペネロペ・クルス、カルメン・マウラ、ロラ・ドゥエニャス、ブランカ・ポルティージョ、ヨアンナ・コボ、チュス・ランプレアベ
わたしは絶賛の誉れ高い『オール・アバウト・マイ・マザー』をなぜか観てません。個人的にはアルモドバルの作品のとんがった部分というかみょーにゆがんだところが好きで、その辺片鱗を残しつつも普通っぽくなってきているユーロスペース配給後の作品は嫌いではないんだけれどちょっと一抹の寂しさを感じないでもなく、ゆえにちょっと昔の作品のにほいを彷彿とさせた前作『バッド・エデュケーション』はかなり好きだったんですけどもね。この『ボルベール』でまた一般的ノーマル路線に戻ったのかーと思いつつも、かろやかで華やかな厚塗りぶりは結構好きでした。奇抜さよりもオーソドックスに登場する女性たちを丁寧に描きあげた舞台劇のような作品で。お話だけ追いかければねっとり血で血を洗う(って大げさ)因果な物語ではあるのだけれど、切なくもところどころユーモアをまぶしつつカラリと仕上がっているのは空っ風吹くスペインの田舎が舞台だからでしょうか。
カンヌで全員が女優賞受賞というのもずいぶんと大雑把じゃないかとは思いましたが、でもペネロペはまるで水を得た魚どころか人魚のようでした。いかにもヨーロッパ映画、というかラテン女優していて今更ながらその力量に驚き(『オール〜』など観ていないので)。やっぱハリウッドって自国以外の人材使うのがヘタ、というか英語圏以外出身の役者さんって型にはまった役でしか使えないところだから無理にハリウッド進出なんてしなくていいと思うんだけど。ペネロペ本人も不本意だったんじゃないのかな。彼女にとってもよい「帰郷」となった作品でまた新しい扉が開くといいですねー、ハリウッド以外で。
@シネフロント
『シュレック3』

原題:SHREK THE THIRD 監督:クリス・ミラー、ロマン・ヒュイ 2007年製作
邦題:シュレック3 アメリカ映画(アニメーション)
声の出演: マイク・マイヤーズ、キャメロン・ディアス、エディ・マーフィ、アントニオ・バンデラス、ルパート・エヴェレット、ジャスティン・ティンバーレイク
『シュレック』シリーズは好きなんです。主役キャラはともかく、おとぎの国の脇キャラぞろぞろがかわいいし、お話しパロディやら劇中音楽づかいもツボなので。今回は前回結構気に入ってたプリンス・チャーミングが悪役キャラを率いて王位掠奪を狙うーということでこれまた楽しみにはしてたのでよかったんですが、前回ほどの大爆笑には至らず。今回パロディーよりもロックな音楽づかいに焦点行っちゃってたかなって感じで個人的には最後のS&Fまで楽しかったけど。
だけどーめでたく王様になるアーティ役の声がジャスティンってのは…。っつーかプレミアの写真でキャメロンと一緒に写ってた時には何で今さら?と思ったものの、クレジットみてここにいたかー!とちとあきれた次第でした。わたしはルパート・エヴェレットの方が好き。
『戦争の子供』

原題:Warchild 監督:クリスティアン・ヴァーグナー 2006年製作
映画祭タイトル 『戦争の子供』
出演:ラビナ・ミテフスカ、セナード・バジッチ、クレッセンツィア・デュンサー、オットー・ククラ
ボスニア戦争の戦時下で収容所に入れられている間、夫が疎開させた当時2歳の娘アイーダが行方知れずになって以来、どこかで娘が生きていることを願って探し続けていたセナーダは、ある日雑誌の記事を手がかりに娘がドイツに生きているのではないかと確信して単身密入国する。方々を訪ねまわって行き着いたウルムの児童福祉センターで、ボスニアから助け出され里子に出されたアイーダらしき幼児の記録が見つかり喜ぶセナーダだったが、それもつかの間。その子はただ単に身元が分からなくて里子に出されたのではなく、ボスニアの親の了解を得て合法的に養女になったのであり取り戻すことは不可能だと聞かされ愕然とする。それでも何とかして娘に会いたいセナーダは今やクリスティーヌと名付けられたわが子に会うために担当官の止めるのも聞かず、娘の住む街で養父に近づくが…。
ドイツ映画祭に引き続いて難民映画祭でも上映された同作品。事実に基づいた云々のクレジットはありませんでしたけれども、こういった悲劇が世界の紛争地帯でいくつも実際に起こっているのだろうなと思うと切ないですね。子どもを手元に置いておきたくてもその子だけでもなんとか生きていかせるためにと手放す親御さんは『約束の旅路』でも描かれていましたし。
『わが心のジミー・ディーン』

原題:Come Back to the Five and Dime Jimmy Dean, Jimmy Dean
監督:ロバート・アルトマン 1982年製作
出演:サンディ・デニス、シェール、カレン・ブラック、スーディ・ボンド、キャシー・ベイツ、マルタ・ヘフリン
映画『ジャイアンツ』のロケが行われたマルファにほど近いひなびた町の小さなダイナー兼雑貨屋でかつてハイスクール時代にジェームズ・ディーン・ファンクラブをつくっていた仲間たちが20年ぶりに同窓会を開くことになった。遠い街からこの日のために帰ってきた毒舌のステラと彼女の絶好の口撃の的になっている身重のエドナ、昔から豊満な胸が自慢で町の青年たちと浮名を流したけれど今は中東へ出稼ぎにいった夫を待っているシシー、クラブのリーダーでかつて『ジャイアンツ』のエキストラに参加した際にジミーと一夜をともにし、その後彼の息子を産んだというモナの前に、スポーツカーを乗り付けてやってきたジョアンという謎の女性を加えて、彼女たちの過去がひとつずつ明らかになっていく。
アルトマンの作品はどっちかというと男目線だと思うし、後期の作品に登場する女性の描写はところどころ苦手なものがあって、この人ってばきっと女嫌いなんじゃなかろうか思っちゃったりしていたんですが、登場人物がほとんど女性オンリーのこの作品も手厳しさを感じないことはないわけではありません。みんなの前で強気な発言を繰り返してはいじめっ子キャラなシシーやステラが半ばやけっぱちでみせた壊れそうな素顔、ジミーへの愛が本物だと信じてそこからずっと抜け出すことを拒んでいるモナが実は周りからどんな風に思われていたか知るくだり、あとジョアンの驚愕の真実などなど随所にチクン、またはズキズキ感じるものが満載。けれど元が舞台というだけあってそれらしい台詞回しと展開に、ダイナーのミラーに映し出される回想シーンは映画ならではのとファンタジックな演出がもちいられているのがうまくかみ合っていて印象的な作品でした。女優さんたちがさすが見せてくれます。最後のモナ、シシー、ジョアンがミラーに向かって歌い始めるノスタルジックな場面もとてもいい感じなんですが、カメラがふーっと動いてそれから時が流れ、乾いた風だけが耳に残る夢の名残的な雰囲気も忘れられません。
PFF2007 はじめまして、アルトマン上映作品
2007.7.14〜8.10
『偽れる装い』

原題:FALBALAS 監督:ジャック・ベッケル 1945年製作
『偽れる装い』
出演:レイモン・ルーロー、ミシュリーヌ・プレール、ジャン・シュバリエ、ガブリエル・ドルジア
公園の一角でマネキンを抱え幸せそうな笑みを浮かべて倒れている男。その周りを取り囲む女工たちという冒頭からお話がさかのぼり、パリのファッション業界を舞台にコレクションを控えたファッションデザイナーの三角関係の悲劇を描いた物語。
親友ダニエルの若い婚約者ミシュリーヌのウェディングドレスを作ることになったデザイナー・フィリップは、親友の留守中に彼女といい仲になってしまいコレクション当日に駆け落ちを約束するものの、前日に元恋人だった同僚が命を絶ち、またミシュリーヌからも一緒には行かれないと別れを告げられて、茫然自失のうちに錯乱していく…。
ファッションショー場面で滑るように画面に登場する女優さんたちの美しさと、最初の方では遊び人を気取っていたフィリップがミシュリーヌからの拒絶に傷つき、ショーの最後に彼女が着るはずだったドレスが登場したところで心のたがが外れてしまうところが哀れ。そこはかとない上品さが漂う映像とどこかドライな空気が絶妙。
青森県立美術館 美術館の映画祭2007 ジャック・ベッケルの一撃 上映作品
『アラブの盗賊』

原題:ALI-BABA ET LES 40 VOLEURS 監督:ジャック・ベッケル 1954年製作
『アラブの盗賊』
出演:フェルナンデル、サミア・ガマール、エドゥアール・デルモン
原題をご覧になれば分かるように「アリババと40人の盗賊」のお話です。いきなりロバちゃんにまたがったドン・カミロじゃなくてフェルナンデルおじさんのアリババが♪アリ・アリ・アリババ〜♪と登場するだけでおもしろいに決まってます。ベッケルがこんな楽しいお話を撮っていたなんて知りませんでした。といいつつ『穴』ぐらいしか観てないけど。
物語自体は誰もが知ってる開けゴマ〜のお話なのですけれども、旅の商隊やら盗賊たちを捕らえるワイドなカメラづかいや、普通ならセリフやら音楽がはいっていてもおかしくはなさそうな場面に不思議な静けさが漂っているのが印象的でした。あとはヒロインの踊り子ムルジアンヌのベリーダンスシーンの執拗に近いへそ・カットとか。一番印象的といったらフェルナンデルおじさんの長い顔ではありますけども。盗賊の宝の洞窟でためらうのかと思いきやすっとぼけた顔していきなりポケットに金貨をガツガツつっこみ出す場面は爆笑。
遠い遠い昔に読んだお話の記憶をこんなんだったかなーと思い出しつつ、ごうつくばりの雇い主も盗賊の親分も無傷でこらしめたあとに、よかれと思って皆の衆に知らせた洞窟の宝がとられまくってすっからかんになって無一文になったアリババだけど、恋しい女房がいれば問題なしというハッピーエンドににこにこ。楽しかったです。
@青森県立美術館 美術館の映画祭2007 ジャック・ベッケルの一撃 上映作品
2007.6.15--6.17
『ギャンブラー』

原題:McCABE & MRS. MILLER 監督:ロバート・アルトマン 1971年製作
出演:ウォーレン・ベイテイ、ジュリー・クリスティ、キース・キャラダイン、ジョン・シャック
今回上映されたアルトマン特集上映はどれもこれも珠玉の作品群で、改めてこの頃のキレキレぶりに目を見張ったのでしたが、これもかなり気に入ったというかもしかしたら1番好きだったかもしれない。
山間の鉱山開拓地にやってきた流れ者の賭博師マッケイブが土地に腰を落ち着けようと娼館ビジネスを模索していたとき、街から娼婦たちを引き連れた女将ミセス・ミラーがやってきて娼館を共同経営しようともちかける。実はマッケイブは金勘定もろくにできないほど無学で、たまたまうまくいったはったりと、とある殺しの悪名の噂が一人歩きして世の中を渡ってきた気弱な男。やり手で美しいミセス・ミラーに好意を抱き、頼れる男をみせようとした彼は、土地の利益を見込んで買収を持ちかけてきた不動産業者に法外な売値を持ちかけて取引をつぶしてしまい、逆に殺し屋に命を狙われるはめになる。彼が殺し屋たちに取引を申し入れに出かけた際、マッケイブが虫も殺せない男だと見抜いた殺し屋の親玉は、とある大雪の降った朝彼の命を狙って一味とともに町に乗り込んでくる。
なんと言っても全編に流れるレナード・コーエンのナンバー。劇中に使用されている3曲は元々コーエンが68年に出したファーストアルバムに収録されているものなのでもしかしてそれにインスパイアーされてできた作品なのかと思ったぐらいなんですが、そういう事実はないみたい。
マッケイブはギャンブラーというか、いかさまを働いているわけではないんだけれど自分の弱さをよせばいいのにかましたはったりでたまたま世渡りできてきたような男。ミセス・ミラーにもどかしい恋心を抱いたところから、買収を持ちかけてきた不動産屋に対しても、殺し屋たちの前でもいざ本当にうまく立ち回る必要があるときに気の利いたことができなくてどんどんドツボにはまっていってしまうところが見ていて切なく、またそんな彼の素顔を知ってか知らずかやがて可憐なかわいい女心を見せていくミセス・ミラーが輪をかけて切ない。
そんな男と女の風景から終わり10分以上真っ白な雪のなかでほとんどセリフもなく繰りひろげられる決闘の場面は『ロング・グッドバイ』を髣髴とさせる無常なハードボイルド感が残り、あっけないのだけれど圧巻。その後のエンドクレジットの光景がより効果的にぐぐぐと心に迫ってくるのです。無常なハードボイルドといえばキース・キャラダイン扮する若いカウボーイが靴下を買いに立ち寄っただけの雑貨屋で何の落ち度もなく撃たれる場面も衝撃的。ニューシネマ。
プリントはあんまりいい状態で見られなかったのが残念なんですがちゃんとしたのが残っていないらしいのでしょうがないですね。DVDで出てるのが幸いです。ヴィルモス・ジグモンドの美しいカメラに酔いしれましょう。
PFF2007 はじめまして、アルトマン上映作品
2007.7.14〜8.10
『イタリア的、恋愛マニュアル』

原題:Manuale d'amore 監督:ジョヴァンニ・ヴェロネージ 2005年製作 『イタリア的、恋愛マニュアル』
出演:マルゲリータ・ブイ、カルロ・ヴェルドーネ、ルチアーナ・リッティゼット、シルヴィオ・ムッチーノ、ジャスミン・トリンカetc.etc.
イタリア映画祭2006上映作品(上映時タイトル『恋愛マニュアル』)
失業中に出会った女の子に一目惚れしアタックを仕掛ける青年、倦怠期に陥りお互いかみ合わない夫婦、夫の浮気の現場を目撃し勢いあまって同じアパートの憧れの人と一夜を明かす婦警、妻が家を飛び出して同僚と浮気を試みるもうまく行かない小児科医、といかにもイタリアっぽいユーモアとちょっとホロ苦さもつまった4つの恋の物語。
比較的屈折ネタの多かった2006年の映画祭のラインナップでは異色な作品だったようにも思うんですが、アモ〜レ、アモ〜レ連発の典型的イタリアン・ラブコメ・オムニバス、といいつつも4つのストーリーの登場人物が微妙に関係があるのもなかなか上手に展開していたと思います。上映当日の会場は各回共に爆笑に継ぐ爆笑が巻き起こっていたとのことですけれど、確かにあの客層には大いに受けそう。といいつつわたしも大いに笑った「ワンコノスケ」で。字幕翻訳者さんの愛が感じられます(笑)。でも公開版では著名な脚本家さんが監修についているとのことでその字幕のまま使われているかどうかは不明。全体的に監修がどの程度はいっているかは知りませんが、あんまり元の言葉を離れてつくってないといいんですけれど。
映画祭直前に放送されたテレビイタリア語講座では映画祭の紹介コーナーで、二人のイタリア人アシスタントさんたちがこの作品をお勧めと言ってたのだけれど、なんでも続編がとられているのだそう。このストーリーの続きになるのか、また違った恋模様になるのかは、見てのお楽しみですね^^ その後どうなったのでしょう
(追記:↑は無事完成。「2」にはモニカ・ベルッチが出演するなどキャストもゴージャスになっている模様。ヴェルドーネおじさんもでていてほしいなあ)




