『天国の門』

またも雑談レベルです。
今回の特集上映で一番観たかったのは『天国の門』でした。はい、興行的大失敗によりユナイテッド・アーティスツを倒産に追い込んだ張本人として名高い作品です。自分がこれみたのは興行時ではなくてビデオだったのですが、そんなに世間でいわれるほどひどい作品じゃないんじゃなかろうかと思った記憶があるくらいで、延々踊ってるなあの記憶のほかあまりほとんどディテールは覚えていませんでした。それ以前にそういえばこのヒロインってばイザベル・ユペールじゃん!!若けーっ!!!と今回気づいてびっくりしたぐらい。なんだかほとんど素に近いしょうもなさです。
そんな状態で再見した本作でしたが、心の記憶の片隅にあった通りそんな悪くはない、というかこれよりひどい大作って掃いて捨てるほどあるんじゃなかろうかと思うし、当時聞かれたワイオミング州における東欧系移民虐殺の事実を初めて描いてアメリカの闇の歴史をクローズアップしタブーに触れた、というのももちろん公開当時の情勢や価値観が今と違うとはいえ(…っていっても60〜70年代とかでなく一応80年代の作品なんですけども…)そんなに過激だとは思えないし、別に普通じゃないかと思わないでもありません。
でも、お話的というか脚本・編集的にはもうちょっとなんとかなったのじゃないかなあとは思います。なんかカットにあまりに無駄が多いというか不必要に執拗というか。例えば冒頭のプロムの場面だって、とても大学生には見えない(爆)クリス・クリストファーソンやらジョン・ハートはまあご愛敬なんですが、いくら学生時代ののほほん牧歌的な楽しい思い出を描くにしたってあの延々延々続く円舞曲場面はヴィスコンティぐらいの格式迫力があればそれだけで見せ切っちゃうとは思うけど、なんかダラダラグルグル回っているだけだし、それは後のローラースケート場面もそうなんですがほかにストーリーの中できちんと語られるべきことがありそうなのにそこを突かれない、かゆいところに手の届かないもどかしさみたいなのはみていて何度も感じてしまったんですけれど、要するに失敗の原因って単におもしろくないだけの話じゃないのかなあと思ったり。どこかのレビューに大手スタジオひとつぶっつぶしたほどの大金をつぎ込んだ証が映像から伝わってこないといったようなことを書いている方がいたけれど、わたしもそれには一票かな。今回の上映って149分版。巷に出ているDVD版は219分ということでほとんど完全版らしいので、もしかしたらあの唐突にやってくる船出&回想も多少フォローなり全体的に補足されているのかなと思うので(でも補足というよりお話の順番とか筋立て替えた方がよさそうにも思うんですが)いつかみてみたいなあと思います。
というか、自分はWクリス(クリストファーソンとウォーケン)が好きなのでたぶん耐えられるんじゃないかと思います。
そういえば今回の上映プリントは16ミリのトリミング版で上映前にインフォメーションがあったり劇場のサイトにもお断りが載せてありましたが、それでも比較的色の残っている日本語字幕付きのプリントでも観られたのはよかったです。何年か前にニューヨークのアーカイヴで本作をみた友人も結構退色していたーと言ってたのでどこにもちゃんとしたプリントないのかもしれないし。とはいえトリミング版といえば先のアルトマン特集で上映された『ギャンブラー』もそうでしたけどあちらもこちらも撮影はヴィルモス・スィグモンド。きれいなプリントで観られたら感動もひとしおだろうと思うけれど、差し引いても十分に美しいです。


