- flicks review (ex.blog) II -


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『ロスト・イン・トランスレーション』
ロスト・イン・トランスレーション

 言葉であったり、環境であったり、その人の持つ立場などが置き換えられる事によって発生する戸惑い。元の場所に戻った時には感じられないような一過性かもしれない純粋な戸惑いと寂しさを わかちあえる人に出会った時の純粋な安堵感を描いた秀作だと思いました。
ぽっかり空いただけの寂しい/空しい気持ちが、やがてぼぅっと漠然と広がってついつい飲み込まれてしまいそうになってしまう様子の描写が上手。スカーレット・ヨハンソン、ビル・マーレイ両者のセリフのないところでの芝居がとてもうまかったと思う。

 なにが気に入ったかというと作品の持ってる雰囲気なんですよね。言葉少ない二人の醸し出している雰囲気と、そのまわりの風景であったり音であったり感覚的なところ。二人の別れの場面はすごく忘れられない、印象に残る場面。でも例えば、国内外/近い遠い問わずどこか別の場所にでかけて一番ぽつねんと感じるのってわたしの場合は閉ざされた場所で聞く空調音だったりする。外がどんな場所だろうとそこの空間だけが隔離されてるような感じを覚えて「独り」を意識するんですが、ここでもボブが眠りこけるシャーロットを部屋のベッドまで連れて行ってドアをぱたんと閉めたあと独りたたずむ廊下で空調音だけがきこえてるあたりはかなり切なかったなぁ。

 お話自体は別にアメリカ国内の土地でも成立するとは思うんです。異国に出かけた方がシチュエーションとしてはわかりやすいと思うけれど正直いって舞台は東京である必然性はなさそうな。でもシャーロットの歩く渋谷の町並みもよかったけれど、冒頭とラストをくくる車の窓からのネオンの風景だけで一気にぐっときました。
 たまに夜中にタクシーに乗った時窓から外を眺めるのがすごく好き。首都高の両側からネオンと車の流れが目に飛び込んでくる様子というのはくたびれた頭にかなり心地よく、どこか異次元に迷い込んだような気分になれるもの。さすが「惑星ソラリス」撮影しただけあるよね>首都高。そんな風景が画面に映し出されるのはやはりうれしく郷愁をそそるというか「やっぱりいいな」という気分になりました。例えば「恋する惑星」ならば頭の上をガーッととんでいく飛行機をみて「ああ香港だ、懐かしい/いい景色だな」って香港の人なら思うんじゃないかと勝手に推測するんですが、それとおそらく同じような感覚ではないかしら。しかし三千里薬局の派手な電飾というのはよっぽど外人さんにとってはインパクトあるのか知らないけれど、しょっちゅうMusic Videoにも登場してますね。

 先に舞台が東京である必要はないと書きましたが、あえて考えればメインキャストの職業をハリウッドスターにした時点で東京ならアメリカに次ぐ大きな映画の市場があり実際プロモーションだなんだで行き来があるし、本国じゃみせられないけど日本でならっていうのを条件に外人スターを使ってバカ真似させてるようなCMも結構あったりするからってのはあるかもしれない。でもたまたま監督がどうせなら東京ならば友だちもいるから手伝ってもらえそうだし、何か撮ってみたいと思ってたからぐらいのノリではないのかしら。その辺ソフィアのインタビュー記事も読んでいないし、製作にスタッフとして参加した友人からも聞いていないので本当のところはわからないですけれども。

 劇中登場したボブの招へい先スタッフやダイヤモンドユカイ扮するCMディレクター、カメラマン、マッサージ嬢やらマンガの濡れ場を堂々と広げて読んでる地下鉄の客、マシュー、しゃぶしゃぶ屋のおねーちゃん、選挙カーは完ぺきサイドストーリーのギャグだと思ってみたのでさらりとみてました。某新聞で沢木耕太郎さんがお書きになっていたような 出てくる日本人が徹底して「愚か」に見える 風には申し訳ないけどわたしは思わなかったです。強いてあげるなら業界ネタの部分か。日米問わずメインストリームでメジャーなお仕事しているようなCMディレクターやらカメラマンやら来日してるハリウッド女優らは端から見るとかなりおマヌケだけど、インディ渋谷系はこじゃれてて楽しいみたいな線引きのようなものはふと感じたりして。それこそ全くうがった見方なのかもしれないけど、彼女だってコッポラという看板立てて超セレブな環境に育ってるわけだから遠からずは前者のお仲間ではないかしらと思うんですが、あえてインディで撮ってるのは自分の許容範囲が広いところをアピールしたいからなのかなとか…。 うわ、意地悪いっちゃった

 世界中で大ヒットしたというこの作品、日本・東京のトホホ具合に世界がうけたとかだったら悲しいな、と鑑賞前には危惧していたんですが決してそんなことはなかったです。
 ちなみにアカデミー賞授賞式の作品紹介で抜かれていた「響」が映ってるCM撮影の場面。友人はあそこの部分をみて「まともなCM料払ったらウン億はかかるだろうに」と驚いてましたが、ひょっとして架空のブランド/商品と思われてたりして>サ●トリー。その後「響」の売上に影響はあったのかしらん?

原題:LOST IN TRANSLATION 監督:ソフィア・コッポラ 2003年製作
出演:ビル・マーレイ、スカーレット・ヨハンソン、ジョヴァンニ・リビジ




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