『ボウリング・フォー・コロンバイン』

ボウリング・フォー・コロンバイン

 ようやく観ました。内容についてはもう充分ご存じでしょうし、同じような題材を取り扱ったドキュメンタリーの番組はたぶんNHKスペシャルやらETVなどでかなりやってると思うので敢えて書きませんけど、1999年に起きたコロンバイン高校の銃乱射事件に始まってアメリカに巣くっている様々な問題点を監督のマイケル・ムーア氏が時には突撃取材を敢行しながら浮かび上がらせていきます。彼自身、幼少の頃から身近に銃のある生活を送っていて射撃コンテストで優勝したり、そして全米ライフル協会の会員でもあるわけですが、6歳の子供がクラスメイトの女の子を撃って史上最年少の銃による殺人犯になった事件の起きた小学校は奇しくも監督の母校。それがこの作品ができる直接のきっかけになったのかも知れません。
 私はアメリカには行ったことがありません。普段からハリウッド映画観たり向こうの音楽聞いているくせにマジで現地に行きたいと思ったこともないかもしれない。そりゃ「大草原の小さな家」を観ればああいう父さん母さんがいて、おやつの時間にはアップルパイでも出てきそうな雰囲気のお家にホームステイしてみたいとか、エンパイア・ステートビルの見える屋外リンクでスケートしてみたいとか、コニーアイランドの観覧車に乗ってみたいとか、ロスにいったらとりあえすホテル・カリフォルニアのジャケットになったホテルに行ってみたいとか願望は人並みにありますけど、なによりも「物騒な国」だからというイメージが先に立って怖いから行きたくない。これってアメリカ人並みの弱虫ということになるのかしらん?
 でも同時多発テロの事件ずっと以前からアメリカ行きを考えられないのはひとえにあそこが銃社会だからってことがあると思う。確かにそういうのってニュース・メディアの影響はでかいですよね。別にヨーロッパにだってスリ・かっぱらいやらテロの活動家はいるし、最近のニュース観てると日本だってちょっと気に入らないことがあるといきなり刺したりさらったりするような輩はいるからどこに行ったって危ないじゃんとも思うけど。でもアメリカの場合は圧倒的に一般家庭への拳銃の普及率が高いし、銃とくれば殺傷力は格段に違うわけで。じゃあ銃規制をすればアメリカは物騒じゃなくなるのかといえば、そう簡単にもいかない。そこにこぎ着けるまでにはNRAみたいに建国当初からの自分と家族の身を自らの手で守る自由を訴える人たちだっているし、規制して拳銃/ライフルの生産が落ちたらはては武器/兵器など軍事にまつわる小物大物を作る産業にだって影響はあるだろうし、そんなことになったらブーたれる輩はもっと大勢いるでしょうし。

 …映画のことを書こうと思っても部外者が語る陳腐なアメリカ論にしかならないのでこれ以上はやめておくけれど、銃問題に留まらずアメリカ政府が行ってきた軍事介入やらメディアの問題やら人種差別の問題など私たち「外人」にとっては興味深いネタを提供してくれたこの作品、本国での扱いや評価って結局のところどうだったのでしょう。アカデミー賞授賞式での監督の発言が注目されて大なり小なりの論争を巻き起こして、それがそのあとどのように影響していったのでしょうか。外野の怖がり人間としてはひとりでも多くのアメリカの人たちが作品を観てくれて、きちんと自分たちの社会の抱えている問題や政府がしてきたことを自覚してそれぞれ内省してくれることを望みますけれど。

原題:Bowling for Columbine 監督:マイケル・ムーア 2002年製作
(ドキュメンタリー)
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