『白バラは死なず』

weisse

 このほど公開される『ゾフィー・ショル、最後の日々 白バラの祈り』に先駆け82年に製作された作品。
 新作ではゾフィーらが逮捕され尋問/裁判の場面に時間が割かれているとのことですが、この作品ではゾフィーが大学入学と同時に故郷のウルムから兄の住むミュンヘンに出てきて、すでにビラでナチス打倒を呼びかけていた兄たち“白バラ”の活動に参加して行った活動、そして逮捕、処刑の時を迎えるまでを、白バラグループに参加している人々の心情の動きなど丁寧に描かれます。
 父親がヒトラーを非難する発言をしたために拘留されたことをきっかけに、また同時期に大学で目にした反政府を訴えるビラが兄たちが作成したものだと知り、自分も活動に加わる決意をしたゾフィー。兄のハンスはこの時以前にも反政府的なビラを作ったかどで逮捕された前科を持つなど、もともとリベラルな家庭だったのかとは思うのだけれど、圧倒的な大衆の支持を受けていた政府を批判することは、おいそれとできないこと。

 お国のためとはいったものの不本意な政府によって不本意に戦場へ送られ他人の命を奪う行為に従事させられるばかりか、自らの命の危険にさらされる身内や友人、恋人。なんだか昨今のどこかの国の自衛隊派兵のことがふと頭をよぎったりします。だけどこの時代の政府というのは誰の批判も聞く耳を持たないどころか許さない、どっかのお子ちゃま内閣とは違う恐ろしいしろもの。一般市民の誰もが密告におびえ 恐怖が支配する中で、一学生たちが世の中に政府批判/打倒を呼びかけ活動することは相当、本当に勇気のいることだったでしょう。

 グループの中でも個々に意見があってなかなか行動意見が分かれてぶつかり合う場面が描かれますが、それもそれぞれが押さえきれない信念を抱いているがため。そうして立ち上がった学生たちというのは決して聖人然としているのではなく恋人に隠れて浮気もするような普通の青年たち。ただ良識的な心に従っただけのことだったのですよね。
 新作をみる上すごくいい導線というか勉強になりました。

原題:Die Weisse Rose 監督:ミヒャエル・フェアヘーフェン 1982年製作
出演:レナ・シュトルツェ、ヴォルフ・ケスラー、ヴェルナー・シュトッカー
白バラ映画祭にて
(2006.1.25〜1.27開催@東京ドイツ文化センター)
22:22 | O.T.ドイツ映画 | edit | page top↑