『単騎、千里を走る。』

単騎、千里を走る。

 心のすれ違いで長い間疎遠が続いていた息子が病に伏し余命幾ばくもないと知らされた父親。自分の子どもがどんなことをして生活しているかも知らなかった彼は息子嫁から手渡された1本のビデオテープから息子が中国でやり残した事があることを知り、その仕事を成就させるべくひとり中国へと飛ぶ。そしてひょんなことからかの地で知り合った一人の囚人とその囚人のまだみぬ一人息子に関わることになる。

 年末のNHKやら公開前の特番もみてしまっていたのでわたくしとしては期待度十分、準備も万端だったのですが…

ちょっとウラメにでちゃったかな、という気がしないでもない。

 健さん扮するお父さんが中国に出かけてそこで知り合った囚人と息子に自分の現状を重ねて行動するところはすごく理解できるし、一度は父親のために連れていこうと思ったヤンヤンを、ヤンヤンの気持ちを尊重して考えを改める方向に転じるのも分かるのだけれど、そのどうしても彼が病床の息子を置いてまで中国に飛ばなければ、と思った理由がいまいち伝わりにくいような気もしないでもない。でもそれがかえって不器用な「日本的オヤジ」らしくてよいのでしょうかねー。なんてったって健さんだから何にも言わなくたっていいんだ、にじみ出て伝わってくる想いがあるんだからそれが「男は黙って〜」の典型的な奥ゆかしい日本男児の姿なのだ、と言ってしまえばそれまでなんだけども。
 ただ彼は中国にでかけて実は息子も彼と同じように特に現地の人と交流するでもなく寡黙に仕事をこなしていたと言うことを初めて知って、そこでどんな諍いがあっても血は争えないということを意識する場面がでてくるので、そこまでの間にいちいち理由を話してる場面があったらその方がつながり悪く映ったかも知れないことはたしかなんですが。
 何て事を思いながらみてたら、あとで「だからうやむやでいいんか?」と個人的にはあっけにとられた展開が待っていたのでのでこの話題はおしまい。

 中国パートになって寡黙な上に言葉も分からない土地で自分の無力さを情けないと思いつつも、何とか撮影であったり見ず知らずの親子の対面を実現させようとなかば猪突猛進に突き進む健さんの姿はやっぱり不器用なオヤジ。
 そう思うたびに去年の10月の番組で青木さやかがレッドカーペットを歩いてくる健さんへの突撃取材でいきなり「不器用ですか?」と聞いていたことを思い出し、申し訳ないけど思い出し笑いしてました(スマン)
 あとはヤンヤンとの交流場面は…とりあえずあのウン場面にはそこまでするかい…と思ったんですが、お別れ場面はそつない、分かり合うのに言葉は要らないという典型的感動場面でした。

…と ここまで書いていてあんましのれなかったのか、という文になってるのは重々承知なのですけど、よいお話しなんだろうとは思うのですがやっぱ予習のしすぎがよくなかったのかもしれません。というかNHKの特番では、通訳のチューリンさんお話しやら あの囚人のお父さん役の人が実は実際にも子どもとの確執を抱えている話や、健さんが素人役者である彼の涙に素直に圧倒されて、自分のこれまでやってきた芝居はなんなのかと自問する場面が結構感動的だったのでそれ以上のものを期待してしまったというのはあるのでした、なので予習なしだったらまた感想も違ったかと思います。

 あとはザブーンと荒れる波に向かう健さんの背中の向こうにTOEIの△ロゴを勝手に連想し、やっぱし最後もプププと思ってしまったのだった。つくづく不届き者でスミマセン。
ちなみに本作はTOHOさんの映画です。

原題:千里走単騎 RIDING ALONE FOR THOUSANDS OF MILES
監督:チャン・イーモウ (/ 降旗康男) 2005年製作
出演:高倉 健、リー・ジャーミン、寺島しのぶ
@日劇PLEX
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