『犬神家の一族』

1976年公開の横溝正史原作/市川崑監督による大ヒット作のセルフリメイク。
で今回のリメイク。他の監督によるリメイクならば、どんなに忠実に撮ったって絶対ああだこうだ言いたくなると思うけれど、市川監督ご自身のリメイクなのでとりあえず何も言うことはありません。オリジナルにほぼ忠実で、わたしが見逃していたのかも知れませんが、なにか新しいことを試みているようには(…というのもなんですが)見えなかったし。次はこうなってああなるんだよなってことが分かっていても、かえってそれを期待して待ってたりするのはあると思うので、ふむふむ納得しながら見ていたし。そうするとなぜ今セルフリメイクの必要があったのだろう、なんていう素朴な疑問も湧いてきてしまうんですが、それは映画雑誌なり岩井俊二監督のドキュメンタリーでも観に行けばわかるのかもしれないですね。
よって比較の対象は自然とキャストに向いがちになるのは避けられないと思うんですが、ナナコはさておきやっぱ松子お姉さんがちょっと弱いかなと…。うーそれはキャストの発表時点からちょっと気にはなっていたんですが、やっぱしょうがないのかなという感じなんですけども…。ホントにホントに不届き者で非常に申し訳なく思うのですが“緋牡丹お竜”などの勇士を存じ上げない若輩者の自分にとって、富司純子さんというと多くお持ちになる銀幕女優のキャリアよりも先に立つイメージは「3時のあなた」。または菊之助くんのお母様なのです。
それでも一番最初の懸念よりはよほど、ステキだけに留まらない迫力があって「おおーっ!」と思ったし、またキクちゃん(←馴れ馴れしい)扮する覆面なし佐清との再会場面のお芝居とかさすがによいなあというか大いなるひいき目をのぞいても ぐっと来るものがあったのですが、やっぱし化け物というかほとんど妖怪に近いオーラを放っていたオリジナルの松子さんのイメージがあると…ご本人もちょっとというかかなりやりにくかったんじゃないかなと思ったりして。
というわけでわたしなんかよりずっとずっとオリジナル好きの方々には微妙かもしれないけれど、可もなくかといって不可もなくという新版でした。撮影も相変わらずきれいだし。
若いお客さんにはどう映るのでしょうね?


